NO:770
おはようございます。
さあ、今年も残り半月、師走の多忙な時期を過ごされていると思いますが、急に寒くなりましたね。
くれぐれもお身体に気を付けて、素晴らしい新年を迎えましょう。
さて、今年発行の小冊子やさしさ通心⑦ですが、順次発送させて頂いております。
今年も2冊お送りさせて頂いておりますので、良かったら一冊は、ご家族や大切な方にお渡し下さいね。また、「届いてない」「欲しい」という方は、一番下の管理人宛てメールから、郵便番号、ご住所、お名前をお知らせください。
無料でお送りさせて頂きますね。
さて今朝は、日本語の心、言葉の奥深さについてご紹介させて頂きます。世界には約4万1千もの言語があり、主要言語だけでも6千8百もあるそうですが、中でも日本語は、私たちは普通に使っていますが、習得するのに一番難しいと言われています。
『日本語の心』
1.言わないことの奥深さ
日本人が言わないようにすることの一つに弁解があります。
明治の時代に多くの人に読まれたのが小説「金色夜叉(こんじきやしゃ)」です。
ご存知、貫一(かんいち)とお宮の物語です。
ニ人は結婚を誓い合った恋人同士でした。でもお宮は、ある大金持ちに惚れられてしまいます。
その大金持ちは、お宮の両親に結婚を申し込みます。お宮の両親は、「貫一のような貧乏書生より、大富豪の奥さんになるほうが幸福」と思い、それを承諾します。
話を聞いた貫一は激怒します。
お宮を熱海の海岸に呼び出すと、「お前は俺が持っているこの真心より、あの大金持ちの一片(ひとかけ)のダイヤモンドのほうがいいのか」と、ののしります。
しかし、お宮が言った言葉はたったニつでした。
「ひどいわ」「あんまりだわ」だけでした。
きっとお宮には言いたいことがたくさんあったでしょう。
「私だって貫一さんのお嫁さんになる日が楽しみだった。けれども、どれだけお世話になったか分からない両親の思いを無視することはできない。分かって欲しい」そんな言葉をたくさん言いたかったのに違いないのです。
けれどお宮は、あのニ言しか言いませんでした。
もし彼女がたくさん言い訳めいた言葉を言っていたら、小説の読者はきっと同情心が薄れ、お宮に対する嫌な印象のほうが強くなっていたことでしょう。
そして、あの小説が多くの読者の心を掴むことも、きっとなかっただろうと思うわけです。また日本語には、長く言うべきところを短く言って、その言わないところに意味を持たせて、味を出すということがあります。
私は旧制高校でドイツ人の先生からドイツ語を習ったことがあります。
例えば、「夕べ私は実験室に行きました。でも誰もいませんでした」と言っても多くの日本人には違和感がありません。
でもそれをそのままドイツ語に訳して言ったところ、「お前が実験室にいたんだから、『そこに誰もいなかった』は間違いだ」と指摘を受けました。
ドイツ人の場合は、「私は夕べ実験室へ行きました。でもそこには私以外の人は誰もいませんでした」と言うのです。
本屋で「夏目漱石の『坊ちゃん』はありませんか?」と言うと、店員さんは店内を探した後、本が見つからずに帰ってきて「ございませんでした」と言ったりします。
本がなかったのはたった今のことですから、現在形で「ございません」と言うのが正しいのです。
でも「ございません」だけだと何か冷たい感じがするので、「ございませんでした」と言うわけです。
その言葉で店員さんが表そうとする気持ちはこうです。
「私どもは本屋として、当然その本を備えておくべきでした。しかし不注意で備えておくことができず申し訳ありません」つまり、わざわざ過去形で言うことで、そこに意味を持たせ、自分の不注意を相手に詫びるのです。
そして、それを聞いている日本人は、そこにお詫びの気持ちが含まれていることを理解します。
だから、そう言われる方が嬉しく感じられるわけですね。
言語学者、金田一晴彦
【日本講演新聞 2023年(令和5年)6月5日号】より
また、以下は、インターネットで動画からです。
「日本語は悪魔の言語だ」これは16世紀に日本を訪れた宣教師、フランシスコ・ザビエルが残した言葉です。日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字、さらにはアルファベットの4種類の表記体系があります。これらを場面に応じて自然に使い分けることは、日本人には当たり前ですが、外国人にとっては非常に難しい課題です。
さらに、漢字には、「音読み」「訓読み」のほか、日本独自の「熟字訓」や「国訓」などの特殊な読み方があり、地名や人名といった固有名詞では例外も多いため、外国人学習者を一層困惑させています。そんな中、英語が楽しく学べるイラストや漫画などをSNSで発信している、オーストラリア在住の日本人インフルエンサーが投稿した画像が世界を驚かせました。
その画像では、基本的に性別や場面に関係なく一人称が1種類しか存在しない外国語と、日本語で使用するありえない数の1人称をイラストで比較しています。
1人称とは、話し手や書き手が、自分自身のことを指すときに使う代名詞のことです。
例えば、
英語では I(アイ)
ドイツ語では ich(イッヒ)
スペイン語では yo(ヨ)
イタリア語では io(イオ)
フランス語では je(ジュ)
日本語では、
わたし わたくし わたくしめ あたし あたくし あっし あちき あたい 俺 俺様 おれっち 僕 ぼくちん ぼくちゃん 手前 うちわい おいら こちら 自分 わし わて おら おい おいどん 小生 下名 小職 当方 当職 弊職 拙者 朕 余 麿 愚生 ミー 吾輩 ・・・・・
【日本にまつわる えとせとら】チャンネルより
メールアドレス
[yasashisatuushin@gmail.com]