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おはようございます。
さあ、9月に入って最初の土曜日。天気予報によると今日の近畿地方は台風一過の晴天、日中は猛烈な暑さがぶり返すそうです。まだまだ真夏の暑さが続きそうですが、くれぐれも体調管理にはお気を付け下さいね。
さて、今朝のやさしさ通心は先週の続きです。先の大戦での日本軍の行動を、太平洋の島国パラオで実際に体験し、靖国神社を訪れたイナボ・イナボ氏の発言からご紹介しています。
②『見捨てなかったのは日本だけ』
初めて支配者側から与えられる食事に、初めは困惑していた子供たちでしたが、温かくて美味しいご飯、それに、初めて受ける教育に、だんだんと楽しみを感じ始めていきました。
すると、次第に笑顔で登校する子供たちの姿が見られるようになりました。
また、今まで労働の対価を受けたことがなかった大人たちも、労働に対して初めて賃金がもらえるようになり、大人たちの笑顔も増えました。
これまでにない支配者の対応に、パラオの人々の中で少しずつ日本人に対するイメージが変わっていったのです。その後、多くの日本人移住者がパラオにやって来ました。
するとさらに、道路や水道、電気といったインフラが整備され、学校や役所・病院に加え、橋や港湾といった新たな建築物も次々と建てられていきました。
こうして、かつて貧しさと混乱に苦しんでいたパラオの人々は、少しずつ豊かになっていき、人々の笑顔が溢れていきました。
その中、20代になったイナボ氏は建築現場で働くようになり、そして、日本軍が運営する病院の拡張工事中、ある人物に出会うことになるのです。
その人物は、日本軍の中川隊長。
中川隊長はイナボ氏が若者たちをまとめながら、現場で懸命に働いている姿を度々目にし、関心を寄せていました。
そして、3ヶ月の工期を終え、ついに新しい病棟が完成、イナボ氏は最後に中川会長に挨拶に行った先で思わぬ言葉をかけられることになったのです。
「イナボ君 君たちは本当によく働いてくれた。ありがとう。そこでだね。完成祝賀会に君たちを招待したいんだ。来てくれるだろう?」
中川会長の突然の申し出に、イナボ氏は困惑し、「とんでもないです。日本兵の皆さんが参加する場に、僕らが出席するなんて滅相もございません」恐縮して頭を下げるイナボ氏の肩に手を置いた中川隊長。
「何を言っているんだ!君たちも同じ日本人で、一緒に病院を作ってくれた仲間だろう? 君たちなしで祝っても意味がない!皆で参加してくれ!」
そう言い残して静かにその場を去っていく中川隊長の背中を、イナボ氏は言葉もなくしばらく見つめていました。
その夜、イナボ氏たちは迷いながらも祝賀会に参加しました。
一緒に工事をした仲間たち、そして中川隊長を始めとする日本兵と共に、様々な料理を囲み、笑い声の中で酒を酌み交わしました。
「なんておいしい料理なんだ。兄さんにも食べさせてあげたかったな…」
イナボ氏の心に浮かんだのは、幼い頃に栄養失調と過酷な労働で命を落とした兄の顔でした。
そんな時、中川隊長がイナボ氏やみんなの背中を軽く叩きなが、「さあ、もっと食え!、そして?め!」と笑いかけました。
その瞬間、まわりの空気は一気にほぐれ、誰もが笑顔で料理を勧め合う、まるで家族のような温かなひとときが広がっていきました。
いつでも誰にでも気さくに接し、分け隔てのない中川隊長のその姿に、イナボ氏は感謝の気持ちでいっぱいになりました。
こうして日本人の移住とともに街は発展を続け、パラオの人口は3万3千人を超えるまでに増加、そして、パラオが日本の統治下になって30年が経とうとしていた頃、ヨーロッパやアジアなど世界各地で戦火の気配がくすぶる中、日本もついにアメリカに宣戦布告しました。
そして、この戦いの中で、日本人がパラオの人々に対してとったある行動が、後に、世界の人々が驚愕してしまうほど衝撃的なものだったのです。
戦争が激しさを増す中、パラオにも暗い影が忍び寄っていました。
「パラオはいつ戦場になってしまうのか?」
という恐怖は、少しずつ島民たちの表情から笑顔を奪っていったのです。
そしてある日、不安を抱えた人々は中川隊長の元に押し掛けました。
「またスペインやドイツの時のように、家畜みたいに扱われる日が来るのでしょうか?」
「暴力や飢餓、あんな地獄を子供たちには味合わせたくない!」
「我々はこれからどうしたらいいのですか?」
泣き出しそうな表情で訴えるパラオの人々を前にしても中川隊長は一切動じず、力強い眼差しでパラオの人々に語りかけました。
「心配しなくていい。我々日本帝国は負け知らず。アメリカ相手だって問題は無い!」
中川隊長の言葉に、一瞬島民たちは静まりましたが、それでも心配する島民の一人が、「しかし隊長、アメリカは大きな国です!それにここもいつ戦場になるかわかりません。普通に生活なんかできません」
「心配無用! 国民を守るのは我々軍人の役目。命に変えてでも皆を守り抜く!」
中川隊長の力強い一言に、その場にいた人々の表情は落ち着きが戻り始めました。
そして安堵した様子で帰路につく人々の中、しかし、イナボ氏は不安を感じていました。
「隊長は大丈夫だと言ったが、本当にこのままでいいんだろうか?」
イナボ氏は友人たちを集め、ある行動に出たのです。
「これまでも日本人には助けてもらって、また助けてもらうだけ。今こそ俺たちは恩返しをする時だとは思わないか?」
イナボ氏の言葉に、最初は驚いたような顔をしていた友人たち。
しかし、次第にその表情は変わっていきました。
「イナボ、お前の言う通りだ。このまま黙って見ているなんて俺は嫌だ。俺たちの島を俺たちで守ろう!」「日本人はずっと俺たちに良くしてくれた。見捨てるなんてできない」
こうして、イナボ氏の言葉に心を動かされた友人たちは、自らの意思で立ち上がり始めました。
その数日後、ついに5万人を超える兵力を従えたアメリカ軍が、目前に迫っているという緊迫した知らせが届きます。
そして、イナボ氏たちはある決断を胸に中川隊長の元へ駆けつけました。
「お願いします。俺たちもこの島のために一緒に戦わせてください!」
イナボ氏たちの熱意に対して、中川隊長は眉間にしわを寄せ、険しい表情になりました。
そして、「ふざけるな!この馬鹿者ども!」と怒鳴りました。
しかし、その怒鳴った中川隊長に対してイナボ氏も、「ふざけてなどいません!今こそ恩返しをさせて下さい!」と、部屋中に響き渡る声で言い返しました。
そして、この捨て身の覚悟で駆けつけたイナボ氏たちに対して、中川隊長は信じられない言葉を吐き捨てたのです。
「黙れ! 我々帝国軍人が、貴様らのような土人に力を借りるなど、言語道断!」
一瞬にしてその場の空気は凍りつき、イナボ氏たちの顔には衝撃と戸惑い、そして裏切られたという絶望の表情が浮かんでいました。
それはかつてスペイン人やドイツ人たちがパラオの人々に対して投げつけていた「土人」という屈辱の言葉。しかし、これまでその言葉を日本兵から聞かされたことは一度もなかったからです。
そして更に中川隊長は、「邪魔だ! 避難命令に従え! すぐに島外行きの船に乗れ!」と、厳しい表情でイナボ氏たちを一喝したのでした。
呆然とするイナボ氏たちは、日本兵により無理矢理に避難船へと連れて行かれました。
イナボ氏たちの思いは、意外な形で踏みにじられてしまったのです。
「日本人なんて、所詮はドイツ人やスペイン人と同じだったんだ」
「結局は俺たちを見下していたんじゃないか…」
イナボ氏は、唇を噛みながらつぶやきました。
そして、船は静かに、無常にも岸を離れていきます。
怒りと悲しみを胸に、イナボ氏たちはうつむいたまま言葉もありませんでした。
しかし、船から島を振り返った瞬間、衝撃的な光景が広がっていたのです。
「元気でな。必ず生きるんだぞ!」
「そして、君たちの手で、もう一度このパラオを立て直してくれ!」
それは、大声で叫ぶ中川隊長たちの姿。
いつの間にか砂浜には大勢の日本兵が並んでいたのです。
日本兵は帽子をちぎれんばかりに振り、中には涙を流しながら、一緒に歌った日本の歌を歌う者までいました。
それは、別れを惜しむ声ではなく、生きて欲しいという魂の叫びでした。
「違ったんだ。隊長は俺たちを守るために、わざとあんなことを言ったんだ」
イナボ氏たちの目からは、止めどなく涙が溢れ出しました。
中川隊長の真意を一瞬でも疑ってしまったことに、イナボ氏は自分の愚かさと情けなさに泣くことしかできませんでした。
[来週に続く]
【世界が驚くJAPAN】より