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 おはようございます。
さあ、明日は勤労感謝の日、そして明後日は振替休日で祝日、三連休ですね。ぜひ、祝日には日の丸を掲揚しましょう。

 そして今朝は、その労働について理解を深めてみたいと思います。
よく、従業員を家族のように考える日本式経営(終身雇用等)と、逆にコスト(経費)として捉える欧米式経営と比較されます。

 戦後日本は、この日本式経営であっという間(敗戦後23年で)に、世界第二位の経済大国になりました。しかしその後、食や生活の欧米化が進むと同時に、仕事についての考え方も欧米化が進み、バブルを頂点に失われた30年を経て、現在の日本の姿があります。

 両方を経験した私は、やはり、日本式経営の方が好きです。そしてそれは、今朝のやさしさ通心を作って、「やっぱりなあ」と、改めて思いました。皆さんも、日本人の元々の労働に対する考え方を、ぜひお知りください。

 そして、理解を深めて頂きたいと思います。
本文のあとに、私が一番尊敬する今井光郎会長が創業された、日本式経営の代表格フジ住宅(株)様の経営理念もご紹介させて頂きます。

『労働は神の罰か、祝福か』

 我々の日々の労働について、旧約聖書と日本神話ではまったく異なる見方をしています。
旧約聖書では、それまで楽園で果実を食べて遊んで暮らしていたアダムとイブが、ある日「善悪を知る木の実」を食べてしまった「原罪」に対して、男には「労働」、女には「産みの苦しみ」という「罰」を与えました。

 すなわち、労働とは神の罰なのです。そう考えると、労働者は早くお金を貯めて退職し、「楽園」、たとえば海岸でのんびり寝そべって暮らす生活を夢見ます。

 一方で日本人の労働についての考え方は、最高神である天照大神(あまてらすおおみかみ)でさえも、高天原(たかまがはら)に田んぼを持っており、農業に携わっていますし、神聖な機織り(はたおり)をする機屋で女たちを監督して機を織らせていもいました。

 また、天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫で初代神武天皇の曽祖父にあたる神、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、宮崎の高千穂に天孫降臨(てんそんこうりん)した際、稲作をこの地上にもたらし、農業の神、殖産振興などの神として祀られています。

 つまり日本では至高神である天照大神でさえも、「労働」に携わっていたのです。「天照大神が天上でつくっている稲穂を授けて地上に下ろさせた」と言いますから、日本人が地上で営んでいる農業は、天の世界の天照大神の稲をいただいたことによるものなのです。

 人間が働くことは神の罰ではなく、むしろ神から祝福されているという労働観です。日本の場合、国民統合の象徴である天皇陛下が、毎年、田植えや稲刈りをされています。それを「みっともない」と思う人はほとんどいないでしょう。

 素直に「ありがたい」と感じる人の方が圧倒的に多いはずです。つまり、日本人にとって労働は喜びなのです。同じ仕事をしながら、罰せられていると思うのと、祝福されていると感じるのと、どちらが元気が出るでしょうか。

 高齢化社会になって、80代でも健康なお年寄りが多い中で、定年後20年も年金を貰って「楽園」で寝そべっている生活がいいのか、それとも自分の経験や技術を生かして、世の中に貢献する生活がいいのか。

 現代の経営学では、従業員が仕事の中に社会貢献、生きがい、人とのつながりを得られるようにして、従業員満足と企業業績の両立を図る傾向が強くなってきています。
この人間性重視の傾向は、旧約聖書よりも日本神話の労働観の方がより適合しているのです。
外国では仕事に出世と金しか求めない人々がまだまだ多く、日本人はそんな世界には何となく違和感を持ちながらも、周囲に合わせて生きていくしかないから、当然、元気も出ない。そこで『古事記』『日本書紀』を読んで、労働は神から与えられた祝福と捉える労働観が自分の民族の考え方だと知れば、同じ仕事をするにしても元気が出るし、職場をその方向に引っ張っていこうという気概も生じるでしょう。

 また、旧約聖書で、女性への罰として「産みの苦しみ」を与えたという点も、日本人には非常に違和感がある点です。日本人が住む日本列島は、神と契約を結んで住むことを許された土地ではなく、イザナギの命(みこと)、イザナミの命という男女の神が結婚して生んだ、神の命が宿る国土と受けとめられていました。

 ですから、生殖自体も神がなさっていたことで、人間の生殖はそれに倣(なら)ったものということになります。だから、祝福された行為と言うべきで、もちろん神の罰なんかではありません。

 それにしても、人間の生活を成り立たせる上で「労働」と「生殖」はどちらも欠かせません。
それらを両方とも「神の罰」と見る神話と「神の祝福」と見る神話のへだたりは、ものすごく大きなものです。

 ウーマン・リブ運動で、女性には「産まない権利」がある、などと主張するのも、無意識のうちにも「産みの苦しみ」を神の罰とする旧約聖書的な発想があるからではないでしょうか。

 日本神話では結婚を通じた生命の継承を重視します。
たとえば天照大神の孫のニニギの命がこの国土に降りたち、山の神の娘を娶って生まれた火オリの命(山幸彦)が海の神の娘と結ばれ、その孫が神武天皇となります。

 すなわち生殖によって、天、山、海の命が皇室に流れ込み、それが国民一般に継承されているのです。その命の継承を行う貴い務めに伴うのが、女性の「産みの苦しみ」なのです。古来から、日本の女性の地位が高いのも、生命の継承の神聖さを日本神話が教えていたからではないでしょうか。

 この点を、神話を通じて、現代の日本人がもっとよく理解すれば、少子化という傾向も覆せるかも知れません。それは日本の新しい活力となるでしょう。

【古事記は日本を強くする 中西輝政・高森明勅 著】他、より

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