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 おはようございます。
さあ、ゴールデンウィークも終わり5月も中旬に入りますが、今朝の大阪も大変良いお天気です。
ただ、最近ちょっと肌寒く感じる日が続いてて、「?」と思ってしまいますが、体調管理には十分お気を付け下さいね。

 さて、先週日曜日は『こどもの日』でしたが、今朝は、日本語検定委員会による第12回「日本語大賞」(読売新聞社など協賛)の入選作の中から、小学生の部の文部科学大臣賞受賞作品をご紹介させて頂きます。

テーマは、「心にひびいた言葉」です。

ほとんどひらがなで、少し読みにくいかも知れませんが、ゆっくりお読み下さいね。

「心にひびいた言葉」

『おとうさんにもらったやさしいうそ』
     佐藤 亘紀(さとう・こうき)
     茨城県古河市立古河第二小学校一年

 ぼくのこころにひびいたことばは、「おとうさんはちょっと とおいところでしごとをすることになったから、おかあさんとげんきにすごしてね。」です。
そのときぼくは二さいでした。とても小さかったのでちょくせついわれたのはおぼえていませんが、いってくれたときのどうがが おかあさんのスマホにいまでものこっているので、すきなときにきくことができます。

 このふつうにおもえることばがぼくのこころにひびいたりゆうは、じつはこれがおとうさんがついたうそだったからです。
このことばの一しゅうかんごに、おとうさんははっけつびょうでしんでしまいました。
 そして、このことばをおとうさんがのこしたのはびょうきがわかってにゅういんした日でした。
おとうさんは、あえないあいだにぼくがかなしまないように、わざとうそをつきました。
うそはふつうはよくないけど、これは、おとうさんがぼくのためについてくれたやさしいうそだとおもいます。
このことばをどうができくと、おとうさんにあってみたくて すこしかなしいきもちになります。

 でもかなしいだけじゃなくて、かなしませないようにうそをついてくれたおとうさんのやさしさをおもって「がんばろう!」とおもえます。
おとうさんがしんでしまったことはしっているけど、おとうさんのうそがほんとうになって、いつかよるおそくにドアのまえで「ドアをあけて。かえってきたよ。」といっているおとうさんにあいたいです。
 こうおもえるのも、おとうさんのやさしいうそのおかげです。
ぼくからおとうさんにつたえたいことがあります。
「おとうさん、うそがばれてるよ! だってまわりにびょういんのどうぐがいっぱいあるし、おとうさんはよこになっているし、めからなみだがちょっとだけでているし、こえがさびしそうだから。」
 でもぼくは、だまされているふりをしつづけようとおもいます。
おとうさんがやさしいうそをついてくれたおかげで、ぼくのこころはつよくなれています。
これからもおとうさんのことばをまもっておかあさんとげんきにすごしたいです。
 
おとうさん、やさしいうそをありがとう。

第12回 日本語大賞 文部科学大臣賞 受賞作品(全文)
【2021年2月25日 読売新聞】より