はじめに
2021年のノーベル物理学賞は、真鍋淑郎さんが受賞していますが、真鍋さんは今はアメリカ国籍を取得されています。そして、「なぜ、日本国籍からアメリカ国籍に変えたのか?」ということを、ノーベル賞受賞後の記者会見で記者から問われ、真鍋さんは以下のように答えておられます。
「面白い質問です。日本では人々はいつも他人の邪魔しないようお互いに気を遣っています。彼らはとても調和的な関係を作っています。日本人が仲が良いのはそれが主な理由です。
他の人のことを考え、邪魔になることをしないようにします。
日本では「はい」「いいえ」と答える形の質問があるとき、「はい」は必ずしも「はい」を意味しません。「いいえ」の可能性もあります。(会場から笑い)
なぜ、「はい」と言うのかというと、彼らは他人の気持ちを傷つけたくないからです。だから、他人を邪魔するようなことをしたくないのです」。
[The Asahi shinbun Google+より引用]
つまり、日本では協調性が重要視され、「自分の我を押し通してでもノーベル賞を取りたい」というような研究者には、日本の空気は向いていないということなのだと思います。
だから真鍋さんはアメリカに行かれたんだと思いますが、決して、真鍋さんのこの発言や国籍を変えたことを非難している訳でも、否定している訳でもありません。
ただここに、私たち日本人の価値観が、大変よく現れているなあと思いご紹介させて頂きました。
逆に今、インバウンドでたくさんの外国人が日本を訪れますが、「他人を蹴落としてでも!」というような競争社会から日本に来て、移動での駅や空港・交通機関で、買い物や食事でのお店やレストラン等で直接日本人とふれあい、日本社会の和気あいあいとした雰囲気や他人のことを思いやる人々に癒されて、この日本社会の素晴らしさをSNSで発信している外国人の方々も大勢おられます。
そして私は、この日本社会の協調性を重んじ、他人を思いやる価値観が大好きです。ですから、日本人であってもそれが「合わない」と思うのであれば、外国に行かれたらいいし、逆にこんな「日本社会が大好き」な外国の方には、ぜひ、日本に来ていただきたいなと思います。
昨今よく「グローバル化」と言われますが、それは決して価値観や文化までも、世界を一つにするということではありません。
初代、神武天皇の日本建国の※詔の中の「八紘一宇」の考え方のように、「人種や民族、宗教はもちろん、価値観や考え方が違っても、世界の人々が一つの家で暮らす家族のように、仲良く平和に暮らす」ということです。
※詔=天皇のお言葉。大御言
最近日本でも、「今だけ!金だけ!自分だけ!」という風潮が強くなってきているのが心配ですが初代神武天皇以来二千七百年近く続いて来たこの日本人の価値観を、何としても継承していきたいと思っています。
目次
- はじめに
- 第1話 『一杯のかけそば』
- 第2話 『泣いていた私を抱き起こしてくれた先生へ』
- 第3話 『想いは人を動かし、後世に残る』
- 第4話 『問題解決には誰かの一撃が大事』
- 第5話 『人がひとを想うということ』
- 第6話 『立ち直ろうとしないのはあんたのせいや』
- 第7話 『年老いた母から娘へ贈った手紙「小さい頃を思い出して」』
- 第8話 『路上生活で死なせない~妻子他界契機に20年で寝袋1.6万枚配る~』
- 第9話 『妻子の死からホームレス支援へ』
- 第10話 『人は皆善きことを行うために、この世に生まれてくる』
- おわりに