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 おはようございます。
さあ、今日から6月です。うっとうしい梅雨の季節が始まりますが、今年の梅雨入り予想は、九州、四国、中国、近畿、東海、関東地方で6/4~6/7頃だそうです。

 私の誕生日も6月で、あまり嬉しくない年齢になって来ましたが、気持ちだけは明るく前向きに、何歳になっても夢と希望を持って、毎日を過ごしたいなと思っています。(笑)
 さて、先週お話させて頂きました「日の丸裁判」のことを、作家の百田尚樹さんがYouTubeで分かりやすく紹介して下さっていますので、宜しかったらご覧ください。

 一番下にURLを貼り付けておきますね。

 では、今朝のやさしさ通心です。今の我々日本人にとって避けては通れない問題ですし、誰もが早めに真剣に考えないといけない問題だと思い、取り上げさせて頂きました。

『老老介護の末、80歳の妻を絞殺』

「今日死ぬかい?」
夫がそう尋ねると、80歳の妻は「ええよ」と応じ身を委ねた。
広島県広島市の住宅で妻をマフラーで絞殺したとして、72歳の夫が逮捕されたのは2021年5月のこと。夫は承諾殺人罪に問われ、懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。

「介護疲れ」が引き起こしたこの事件は、多くの介護関係者に衝撃を与えた。
近所でもおしどり夫婦として知られていた2人が結婚したのは1973年。そんな2人に大きな転機が訪れたのは2013年頃。夫が、がんを患い、闘病生活を送るようになったのだ。

 さらに約2年後、今度は妻が脳梗塞を発症し、左半身不随の状態になった。夫は体が不自由になった妻の介護に追われていくことになる。事件を取材した記者によれば、夫は在宅で妻の介護を続け、妻がデイサービスに送り出される姿を近隣住民も度々見かけていたという。

 自らも闘病生活を送る中で、妻をつきっきりで介護していたという夫。
その負担は日ごとに重くのしかかり、夫の身体は次第にやせ細っていった。一方、妻も徐々に衰弱していき、「死にたい」と漏らすようになる。約6年間の介護の末、夫婦が選択したのは“死”だった。

 夫の「死ぬかい?」と言う問いに承諾した妻。妻を殺害した後、夫は自らの手首を切ったが死にきれなかったと言う。
 初公判で夫は、「一緒に逝けなくてごめん」とうなだれながら亡き妻に謝罪の言葉を述べている。
裁判長は夫に対して、「長いこと奥さんのために尽くしてきたと思いますが、今後は自分のことも考えて心穏やかに過ごしてください」と言葉をかけた。

 老老介護の問題は、年々深刻さを増している。2022年の厚労省の調査によると、介護する側とされる側が同居する世帯のうち、お互いが65歳以上の割合は63.5%にものぼっている。
 さらに、75歳以上の労労介護の割合は35.7%を占めている。調査が始まった2001年から、老老介護の件数は右肩上がりで急増しているのだ。警察庁が公表している「令和3年の犯罪」では、殺人罪808件のうち、33件について、犯行の動機・原因を「介護・看病疲れ」としていた。

 また暴行や傷害を含む粗暴事件について、同年の統計では、「介護・看病疲れ」が犯行の動機・原因となったものが75件だった。今後も老老介護を強いられる世帯は増え続け、介護・看病疲れを原因とした事件がなくなることはないだろう。
 あるベテランのケアマネは、老老介護の問題点についてこう指摘する。
「老老介護は、介護する側にとっても、される側にとっても、肉体的・精神的な負担が大きいものです。最も危険なのは“共倒れ”になってしまうこと。特に今の高齢者は責任感が強い方が多く、自分で何でも解決しようと思いがちです。介護に追われて自宅に引きこもり、外の世界との繋がりが希薄になれば、どうしてもストレスが溜まってしまう。その先には関係の破綻しかありません。
 周囲の人たちは、問題を一人で抱え込んでいる高齢者に対して、介護サービスを利用するよう提案したり、周囲の力を借りるのはごく当たり前のことだと言ってあげる必要があると思います」

【介護の裏 実録ルポ』文藝春秋 甚野博則 著より