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おはようございます。
さあ、いよいよ明日から12月、早いもので2024年も残りひと月です。
そして、来年(2025年)は『2025年問題』が起こると言われていますが、ご存知でしょうか?
これは、超高齢化社会を迎え、社会保障費の急増などが見込まれる社会問題のことを言います。
具体的には、団塊の世代の方々が75歳以上の後期高齢者となり、その人口比率が18%を占めることで年金、医療、介護のニーズが高まると予想されるからです。
ところで、この団塊の世代の方々は、戦後のアメリカの占領政策(※ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の影響を最も受け、戦前の日本について否定的な考えを持つ方が多く、天皇についても、肯定的に思わない方が多いと言われています。
※ ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム=戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画
また、昭和一桁生まれの方々も同様で、戦前は軍部の影響で「天皇陛下万歳と言いながら死ね」と言われていたのが、戦後になり急に戦前を否定する教育になった訳ですから、天皇陛下が嫌いな方々が多いと聞いています。
また、その昭和一桁生まれの方々の子供も、その影響を受けていると聞きます。しかし、今月に入りこれまで4回に分けて天皇についてご紹介してきましたように、天皇の存在を利用した一部の政治家や軍部が悪いのであって、決して天皇ご自身、あるいは皇室が悪い訳では決してありません。
逆に、世界に類例を見ない万世一系の天皇のご存在が、どれだけ我々日本人にとって幸せなことであったかを、一人でも多くの今の日本人に知って頂きたいと思います。
天皇のご存在は、我々日本人だけではなく、全世界、全人類の宝です。このまま、未来永劫継承していくことが、我々今の日本人の義務だと思います。
⑤『天皇とは何か?』
前回までにご紹介しましたように、日本の天皇は他国の王や皇帝とは全く違う存在であることがご理解頂けたと思います。ここでもう一度整理しますと、天皇は他国の王や皇帝とは違い、自由がありません。権限がありません。権力もありません。財産もありません。
このように、個人的な利益は全くないのです。
そして、ただひたすらに「国平らかに、民安かれ」と、我々国民を※大御宝として、国民の安寧と世界の平和を祈る祭祀王(さいしおう)なのです。
大御宝(おおみたから)=一番の宝
また、「天皇の原理は、ただ、男系男子という血統であり、性格や個人の能力は全く関係ない」と、竹田恒泰さんはおっしゃっておられます。
こうして、改めて日本の天皇のご存在の意義を知ると、日本国民であれば誰しも「有り難いなあ」「もったいないなあ」と思うのではないでしょうか?
ここに、前回も書きましたが、自然と※権威が生じて来るのです。
※権威(けんい)=他者を服従させる威力
これに対して他国の王は、先に力(武力)で民を服従させ、王となります。
しかし、王となってもそれは力づくであり、民は誰しも恐怖から服従しているだけで、尊敬の念や感謝の気持ちなど待てません。
逆に恨みの心を持っている者も多いでしょう。
ですから中国の※易姓革命のように、自らが王になったことを正当化し、無理矢理にでも人々(王自身も民も)を納得させようとするのです。
※易姓革命(えきせいかくめい)=徳を備えた新たな王が、天命によって徳のない前の王と変わって王になるという、古代中国で起こった儒教に基づく思考で、王朝の交代を正当化するための理論
つまり、無理矢理にでも※権威を待とうとしたのです。
そして、一人の王が権威と権力を持つとどうなるか?すると、王から見て民は、自分のもの、自分のために存在する、煮て食おうが焼いて食おうが自由な存在、となり日本の天皇が、民を「大御宝=一番の宝」と考えることとは、全く真逆の考え方になります。
ところで、これは全くの余談ですが、中国はこの長い4千年の歴史の中で、1度も選挙が行われたことがありません。
これは、なぜだかご存知でしょうか?
実は中国には「人々は平等である」と言う考え方がないのです。
どういうことか?と言いますと、人間の中には、賢い人間もいれば、バカな人間もいる。能力のある人間もいれば、ない人間もいる。金持ちもいれば、貧乏人もいる。それなのに、なぜ同じ1票なんだ?という考え方です。
つまり、賢い、能力のある俺(俺たち)が、バカな、能力のないお前たちを指導してやる。
という考え方で、指導される側、つまり支配される側もある程度それは仕方ないと思っているのだと言います。ですから、現在の中国共産党政権も、昔の王朝のような体制として国民は受け入れているのだと思います。
そして、指導する側の人間になるために、昔は「科挙」という大変難しい試験制度が有り、それに合格すると役人になることが出来ました。
今の中国で言えば、共産党員になることが出来たというのと同じ意味ですが、一族に一人、科挙に合格する人間を出すこと、今で言えば共産党員になる人間を一人出すことが一族が目標になり、合格すると一族が群がるのです。
また、これも余談ですが、日本は昔、聖徳太子の時代に遣隋使や遣唐使を派遣し、随や唐から都市建設や律令制度など、たくさんの学びをしました。
しかし、この「科挙」制度は取り入れませんでした。それは、日本では、「人々は天皇の前に平等である」という考えがあったからで、欧米の、「神の前に人々は平等である」という考え方から民主主義に発展した18世紀より、一千年以上も前から、民主主義ならぬ、「民衆主義」が確立していたということになります。
これは本当に凄いことで、世界に誇れることなのです。さて、日本の天皇についてのお話しに戻しますが、日本の天皇は権威だけを持ち、他国こ王のように権力を持ちませんでした。
そして、天皇の一番の宝である民(国民)の幸せを願い、天皇自身は祈り、それとは別に、武士たちには権力を与え、民を守らせました。このことが、世界にない国家の安定と発展に繋がったことを、ぜひ、知って頂きたいと思います。
つまり、天皇の一番の宝は民で、民は権力のある武士に従い、武士は権威ある天皇に任命されることで権力を持つという、三すくみの状態が出来上がったのです。
ですから応仁の乱に始まる戦国時代も、幕末からの明治維新も、他国の介入を防ぎ欧米の植民地にもならず、天皇も武士も民も、全ては日本のためだということで心が一つになり、日本の国体を守ることが出来たのです。
もし、日本に天皇のご存在がなければ、清国末期の中国や第二次世界大戦後の朝鮮半島のように、他国に分断され分割統治されていたでしょう。
【来週へつづく】
▢日本の歴史を知れば知るほど、ほとんど悪人がいないことに気付きます。
もちろん中には、そうでない戦(いくさ)もありますが、ほとんどの場合、敵も味方も、私利私欲のためではなく、 お互いに考えが違うだけで、一族や民、天皇など、すべては他の誰かのために命掛けで戦っていて、感動します。
そんな日本の歴史を、これからもご紹介していきたいと思いますので、よろしくお願い致します。 天皇については、もう一つ、ぜひ知って頂きたいことがありますので、来週ご紹介させて頂きます。